おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

やわらかな半夏生

めぐって半夏生

泣かないつもりが

思うようにはいかぬ14の頃

 

小さな舟に乗って隣の島へ

海は厭に澄く

通りすがりの人生にしては

長いと感じたの

 

大人になれば

手を振り去れば

なんてことない小さな箱で

怯え身を小さくして泣いてたの

 

めぐりめぐって

ちゃんとまた来たわ

大丈夫よ

やわらかな半夏生

 

流れて半夏水

忘れたつもりが

痛みもそのまま憶える今

 

いつの間にか緑なき街へ

海も風も遠くても

比べればまだいいんだと

求めるより逃げる一生

 

感度落とせば

暦も心も

あってないようなものだって

それが言えないのよね

 

流れ流れて

否、流されても

大丈夫よ

出会える半夏水

 

遠くに見えるあの子はきっと

泣いていた日の

十何年前の

 

澄む水も木も

憎らしくても

澄むさまを受け止めるのね

儘ならぬ中で生き延びて

 

めぐりめぐって

ほら出会えたでしょ

大丈夫よ

やわらかな半夏生