おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

病み上がり 風の子

気持ちのいい夕暮れね

黄緑に縁どった電車

音を立てて家路へ運ぶ

港も少しだけ見えるわ

 

ぐずついたぶん

風通すだけで

すっと思えるのね

 

何にも深く考えずに

押し出されるように町を出て

意もせず辿り着いた先

今少しだけ

良かったと思えるわ

 

優しくもない街

風に問いかけることも

ぐらつくこともできる5月

 

凪が恋しい

言い訳づくし

天に地に乞い

果てるまで

 

生まれたことが病み上がり

死ぬまで続く気配もあり

また音を立てる電車の波

忌み嫌う町の声

 

生まれてこのかた酔いまつり

風を名に得て

大手を振って

縮こまった心に少し

通す風

それも許される5月

 

生まれたことが病み上がり

続けよ大丈夫

風の子だもの