おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

春の気、戻り雪

床に臥せて日が暮れるのは

情けないような気がして

正しくあろうとし続けたはずなのに

それがまだ何たるかは知らず

 

また溜息なら

この部屋に充満しただろう

 

窓を開けて空を見るのは

当たり前のよな遠い世界

あぁいつか飛べずとも

ただただふらりと行けぬだろうか

 

また人の声のすれば恨めし

春の気にあてられた者

 

灯りは消えて幾月か

数える術も失ったころ

移り風に朝昼夕を見て

宵は同化するするだけのこと

 

まだ残り香だけ吸って

生き延びられるだろうか

 

窓を開けて珍しく雪

桜の花を揺らす日が来るとは

いつか懐かしさに

震えるころはもう天上天下

 

また空想に目を擦る

戻り雪にあてられた者

 

春の気に

戻り雪に

泣くな嘆くなと正しさは

捨てて

 

あぁ今日を終えたことは

臥せようが駆けようが

変わらぬ尊さ

 

また街の鎮まればそれだけ

春の気にあてられた者

戻り雪にあてられた者