おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

落夏

突き刺さった矢が取れないうちに

責め来る敵の惨いこと

風一陣、惑ううちに

流る世の波

 

二の矢、三の矢

蜜の味して

平静はどこへ行った

 

忘れ得ぬ夏

子に孫に負わすか

痛みは賭して止めて

悲しみだけ留めて

 

儘ならぬ右手に気を取られ

広がる傷にも気づかない

やがて火を吐くよう

熱は上がりきった

 

二の手、三の手

策打つ彼に

この歯痒さがわかろうか

 

手紙など携えぬほうが

還りつけると聞いた

ならばなぜ今

この身は動かぬ

 

忘れ得ぬ夏

子に孫に負わすか

痛みは賭して止めて

悲しみだけ留めて