おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

凪の子

眠れ、眠れ、

ねんねんころり

夏の蒸す夜に母子は添い

 

ゆらりゆらり

灯りにも助けられ

夏の浮世はさながら揺りかご

 

目を閉じた、のが

目を離した

 

凪待ち、

よい子は眠りについても

浜へ向かうように

お前はできているのか

 

四の五の言う前に

二、三も聞かずに

水恋しという魂なのか

 

すやり、すやり、

小さな吐息

夏の蒸す夜もだんだん馴染み

 

ふわり、ふわり、

夢をみるのね

なんと清けき世の営みか

 

目を開けた、のが

まぼろし

 

凪来て、

よい子は眠りの真中でも

浜をたゆたうよう

お前は教えられたか

 

足踏み、拍子も

まともにとれずに

水辿ることだけは知ったのか

 

不思議の子

世に堕ち、夏のにおい

すやり眠れと小唄うたう

大人たちの預かり知らぬところで

 

凪待ち、

よい子は眠りについても

浜へ向かうように

お前はできているのか

 

言葉より、愛より、

理屈より先に覚えた

水恋しという魂なのか