―臥せる床より

空は狭く、どこまでも遠かった

伸ばす手もなく、臥せる床は沈みこむよう

 

踠かせてくれ

せめて

力のない魂でもまだ此処にいるのだから

 

愛語る者など

傍で看取る者など

持たぬ身のまま

 

暦はどうやら

夏は来ぬと

口ずさむことできるよう

一層虚しくもなろう

いっそ朽ちてしまおうかと

その思考も霞むほど

現世に意識はない

 

空は広く、遥か広がるはずだ

憂い晴らし、楽園として待つはずだ

 

市井に伝う熱に

こんな時だけ縋るのか

 

実感はなく

実際の感覚はもう

取り戻せぬところまで

 

今宵はどうやら

涼し風の流れるよう

一層恋しくもなろう

いっそ嫌って離そうと

その思考を全力で

力無き唇で唱える

 

臥せる床より

彼の地の者へ

浮世の浮人へ

物言わぬ魂が最期の熱を

燃やす

 

夢から醒めれば

忙しい日常か

憂いなき楽園か

どちらにしても

誰にも愛されず

この狭い部屋からの

小さな四角い空色を持ってゆく

 

―臥せる床より