おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

関わりと断ち切り

いつからか送らなくなった happy birthdayも 心から思っているわけではなくて 義務に急き立てられていたから 立ち消えたのね 自分の生活に 埋もれたわけではなくて 愛情は 無いといけないという縛りだけ強く 実感として 持ったことはないから 今日も何事もな…

通りひとり

およそ世間一般の人が送る生活とは 違うのだと自覚してきて かといって格好つくわけでなく ただ惨めで浅ましいのだから どう取り繕っても 喉の奥が苦しくなるだけさ 考えすぎると いつもの 生まれてすみません、に行き着くから やめておこう そしてまたうや…

春兆しに泣く

春風ではなくて その兆しで泣いてしまうのよ まだ立春も待たず 昼過ぎは たまに陽気の押してくる あなたに少し便りでも 送りたくなる今日の頃 今は簡単に声聞けても 書きつけたくなる今日の頃 春風ではなくて なんなら予感だけで震えてしまうのよ まだ冬着の…

夜風の組

夜風を好むようになる 格好をつけようとして 繰り返すうち 本当に好ましく思えた 街で駆けまわるような 硝子割るような 気にはなれなかったけれど 心が確実に 狼狽えて抑えていたから 暴れだしたかったのよ きっと だから 夜風を好むようになる そういうたぐ…

菜摘みのころ

菜を摘んだ 思い出だけで生きてゆけるか 腹も満たされぬ 心もむなしく それでも 思い出される 1人ではなかったことが すべて 折に触れ 思い出される 君といたことが すべて 菜を踏んだ 季節変わり目の営み 人の残酷と儀式 なんにせよ 思い出される 君がいた…

君を見ていた海

その背に追いつきたかった 悔しさを見たくなかった 解放されたつもりで 煩いはないけれど 夢見はいつも海 君を見ていた海 ただただ生きてゆくことが 難いと知りすぎた若いころ どうして生きてゆくことが 罪だと思った幼いころ ひとすじ光のように 君を見てい…

愛とどく

毒が回るようよ 知らない毒が 夜鳴き鳥も静まる頃に 触れる肌には熱持って 何方とつかぬ手を取って 2人 野を駆けた 少年がいつの間に 大きな背をしていたの 愛されるとは こんなにも息詰まる 神も知らない贅沢な朽ち方 気を遣る情歌 夜風障る 昼時にも残るわ…

痛むようにできている

喉の痛みを持って 私は生きて 彼に伝えそびれて 平気で何十年も経つ 人はあるべきところに収まり 自分だけがおさなく 虚しく齢かさねても まだ腑に落ちぬ 喉の痛みは増して 流行り病とは違う 世のどのようにあるかに 関わらず痛む

雪知らず

時の拐かしに 行き来も愚か すべてはまやかしと 諦めるのか 白い白い ふわり降る 話に聞く 淡雪 遠い遠い 国名残り 知らぬはずの 息吹 時空の歪みに 晴れ着も遅れ この世はまやかしと 背向けたくなるけれど 白い白い ひらり舞う 彼の人言う 淡雪 遠い遠い 国…

星しるべ

広々と 大地のふりをしているから 騙されるところだったじゃない 私が馬鹿で済むのなら 悔しく呑んでもいいけれど どうしてもどうしても 帰らなきゃいけないから 現在位置は重要で 気の確かも 持たないと 傷ついても 惨めでも いのちひとつ 保たないと 燦燦…

時空にいだかれている

怯えすぎて 本来 どういったものかも思いだせないのだけれど きっと 愛情がひとかけあれば 乗りきれるものよね 忘れてしまわないうちに 触れていたい 私が私でなくなるのは 否が応でも あなたに染まるということ この世の者ではなくなるわ きっと大多数には …

臥せる者

臥せる振りは いつか臥せる ことになる やらずに済むなら やらないがいい 誰かが何とかしてくれるのは 幼いころの親だけだ それも頂けなかったら もう一生ないだろう 所詮他人の 住める星 臥せる振りでなく 本当に臥せる オオカミ娘の積りなくても どうせ放…

いたみうれい

荒んだ夜が また目に痛い 格好がつくと思い違いをした 若くて痛い 明日には何てないことが 今は胸に詰まって痛い どうせ忘れてしまう記憶に 支配されて頭が痛い どうすればよかったかを ずっと考え続けて 生まれなければよかったに 辿りつかないように 途中…

世の連れ子

拐かしの 罪に似て あなたはあの子 連れてった 人ならざるなら 赦されると思う? いつまでも問い詰めたい 葉々の揺らぎに弱いのよ 御世の不思議に疎いのよ あの子は 手を引かれたわけでもなしに すっと 向こう行った

あの子のうたごえ

あぁうらめしや あの子の歌声 残るでしょ ルンと跳ねて 駆けて暮らしているのが そのまま 表情にも声にも出てる あぁうらめしの あの子の心が ほしいでしょ シュンと落ちて 泣いても じっとしてらんない お転婆が あぁうらめしや みんなあの子を 目で追って …

先達

潔癖も度を過ぎると 汚らしい奴になるだろう? 程々にしておきな 誰に迷惑掛けるわけでも 誰に褒められるわけでもない ささやかな暮らしがまだ納得いかないか 肥大する自我 今はナントカという 病の名も付いているらしい 捕らえられないように 気をつけな

余白と今生

儘ならぬ苛立ちに 顔が歪み 汚い言葉が出る これじゃあの男と一緒じゃないか なりたくない なるもんか そうして飲み込む 清濁 もう死ぬ寸前まで溜め込んで 果たして理想の人間になれるのか こうはなるまいを 一番近くで見せられても こうなりたいを 知らない…

失速と情動

力を失くしてゆく 齢に勝てずと 史上誰も逃れることのできなかった 唯一つの平等 病に伏してゆく 懸命に生きようが 正直にあろうが 容赦はなく 己の定まらぬ幼子 身体言うこと聞かぬ老体 思えば 本意である時間は 青春より短いのではないかと 虚しく茶を啜り…

空を見ているうちに

空を見ているうちに 引きこまるような気が 思いすぎているうちに 生きていることさえも 疑う気が起きるのを せき止めるための風 なだらかであれと願う 人の声かすむだけ 空を見ているつもり 引きこまる魂が 元ここにいたという 証などないのだろう 空を見て…

弱い手

息をするように 病んでゆくのを 言うのも憚られる 流行っているからといって 乗れないのよ そんなのずっと前からで 耐えてきた年月もあるから 変に意固地に なってしまうのかしら なんにしても繊細は 売り物になるはずはなくて ただ苦しみは苦しみとして こ…

凪街

夕凪 街の振りをして私達を覆う 気づく者が何人あろう 悪酔いの続くような気が 知らぬがなんたらと悟そうが 夕凪 街は澄み混沌として 誰のせいでもないうちに また1人2人消えゆくのを まやかしだと認知は 夕凪 気づかぬうちに連れゆかれば まだ幸いのうちか …

感情に生きる人

放課後のような気になる たまの日暮れに立ち会った時は 考えすぎが滲んで 胸に収めきれなくなって ありがとうと言える人 感情的に泣いちゃう人 好きな歌をうたう人 好きな人を見てる人 愚かだと決めこんだって 結局はうらやましかったのよ 頭働かせたところ…

set a poem【to MIDCG】

いとしき思い出 巡りくる この地の深きを 思えば悲し 風吹く地上の暮しには ひとりに耐え馴染む 月日がかかる 遠ければ 忘らろか 近きに届かぬ いのちを思う

set a poem【to HT】

身潜め聞く戦場の火 あぁ神は何処へ 戸の内震う幼子の 手冷えゆくばかり 今に呼ぶ彼の人 苦しみは何時まで 二度と呼ばぬ愛し声を また思いおこす 囀る鳥 戦場の隅 あぁ神の守りを 戸の内思う 愚かの時は ここで終わらせと 今は亡き彼の人 苦しみを飲みこみ …

set a poem【to SBS 】

船漕げ 罪なき彼の人運ぶ 穢れと誇りを併せ持つ波 追う身も 救う身も 紙一重に 責めるも 囚わるも 神の御手に 船漕げ 貴き彼の人運ぶ 身を変え生き延び伝えたい波 晴る日も 揺する日も 波ひとつに 悔いても 望んでも 波の次第に 船漕げ 誇らし彼の人守れ 捨…

set a poem【to SOTCD】

春気持つ国の端 流れつく人等の 不可思議の香に皆 掴まれ惹かれる 連れゆくような宵の火 一滴垂らせば 皆気持つ気も失せて 彼方へ向かうの 悪は何処か誰かと 聡き人の問う 其れ無力に終わらせる 旅人の持つ香 地の果てるまで枯らし 実りを待つ人の 性根か生…

set a poem【to YBB】

緩く匂う 小島の日暮れに沿った夕飯時 風紛れにそそるな 異人の叩く戸もなく 憐れと刻めど 碑はのち 戦火に消ゆる 知りてなお愛おしき 水流れ持つ彼の国 変わらず波に誘わる 岩打て流る朝飯時 狩り帰りの男らと 火囲み眺む島の瀬 儚きと刻めど この時 誰も知…

寒入り後の

寒の入り 鳥さすらい 外れくじを掲げたところで 誰も知らぬ間に朽ちる いのちが生きているだけだ ああ息が白く 西生まれには 堪える季節がまた深まり ああ身勝手にも 思い馳せる あなたの生まれ月など 寒の入り 過ぎてもやわく あろうとする 黄金の空 幻であ…

自律ということ

虚ろな者にしか分からないことが それはあるのだろう 何十年かけて我が身を以て 気づいてきたからさ たとえば 街に出て大声で叫べぬようなことでも 弱さを晒すふりして 密かに悦に入ることも できる時代 できるからこそ 歯止めは自分でかけろ 苦しさを 解放…

虚弱の人

何で具合が悪いのか 分からないまま此処にいる 物語のように美しい 苦難さえも綺麗に描かれる そんな日々はもうないさ あるか分からない生命のくせに どうしてこんなに痛いのか 誰に責められたわけでもないのに 許しを乞うのは何の癖か 眩しくなった社会なら…