ふうか

朝の移ら

捻たことなら幾らでもいえるのに 肝心な優しさは1ミリも出てこない 例えば狭い部屋で 広い宇宙で 彼女が痛んでいるのを気づいていて 救うなんて以ての外 もっと傷つけくらいに思っている 私の心を救った彼も 必ず周りに人がいて その中で歌うものが綺麗事に…

homage

忙しない世は確かだが この切迫はその所為だけではない 己の心に静寂がない 止まるのは無理でもせめて 緩やかにあれ 街を抜け駅を出て ひととおりの喧騒をのんだ いつの間に眠った 朝 心ここにあらず カヴァレリア・ルスティカーナ あぁ私は 何を生き急いで…

森へ帰る

いつか森へ帰る 市井はわりと海に開け 海が開けているという なるほどそのとおり しかし森の広さを知らぬのか 生い茂る様 迷い入るからこその ある意味広大さを孕み 人がきづかぬ、ことまで含めて いつか森に出会う その人もひどく少なく 知らぬまま死するが…

ぶり返す静かな波

また床に臥せた いつが正常かわからぬくらい 悔し床に伏せた 喉の痛みは強まり そう考えていると益々強まり もうそれだけで死ぬのかと思った そんな思いをしていた近い過去を思い出し そうか、これも過ぎ去ると知り それでも臥せていることは 私には堪えた …

旅をしているか 今や天から見下ろす感覚を得て しかし我が身はごく狭い地に留まる 旅を望んでいるか 思わず考えているだけなら無理しなくていい 得るものはあろうが行かずともよい ただ今ここが耐えられぬ どうしても耐えられぬ かといって旅先に楽園はなし …

世の一刻

目に映るものは全て毒 降る時は全て災い 閉塞は元々から備わり 可哀そうな生き物だと彼は言った 尊い歌は 感じる力のない者の前で歌われ 清い言葉は 意味を得ぬ者に届く 長けき子は 器無き親の元に生まれ 自らを失した この世は悲しいことばかりと 彼女は悟…

春の野に

花飾りまとい現れた童 なんと純朴に世を見る この野原にそぐわない身を 申し訳なく思い しかし一定数 そういう者が必要ならば 私が負っているのだと 心に慰めを 偉そうな講釈たれるつもりはなし ただ心に慰めを 花飾り一片二片 風に散り 駆けてゆく童

ねむたまなこ

まちがっているのはだれか といつづけて今生はとじる そうしてめをとじたはずなのに またひらけてしまった あさ、 せかいがあけゆくのは ひとのいとなみが つらくともひろがりゆくのは 今生をひらけてゆくために しくまれているのかも

熱の床

また熱にうかされてしまった もう平常を失わないと誓ったのに なんてことない のどの痛み ふらつく熱 誰にだって起こる凡事も一々一大事 誓いまで立てる様をまた 笑われるだろう 臥せるだけでは 世は晴れぬ 気づいた床が 朝か昼か 他の世界か 忘れてしまった…

息吹

三寒四温つぶやく間もなく いつのまにやら葉桜まで見上げるの 世界はまだ 追いつけない私を 遠ざかる日に あたためて 泣きだすまで 包むつもりでしょう さすがに齢幾年 わかってきたのよ 負けないからね 言ったそばから 春、息吹 胸苦しさをとかす あぁ世界…

時と春のさま

時は移りゆく 全て知ってか知らずか 春の香にやられているのでしょう 人間はそういうふうに作った 風の流れゆく その様に息吹と名づけ 心やわらげているのでしょう 人間はそういうふうに生きた 町は育ちゆく 廃れるなどという言葉に ひととき惑わされるので…

物思いの部屋

あたたかい日を受けたはずなのに 背はまた冷えだした 1人きりでは確かめようもない 闇に堕ちたか 気のせいか 帰り着いた部屋は楽園ではない ひととき ただ体預けるだけ 遠い神は知っているか もうとっくに忘れてしまったのか ただ問いかければ ひととき 虚…

世の地の悩める部屋

四畳半に慣れた身には 広すぎるくらいの部屋 帰り着いた途端にベッドに身を投げる あぁ何かのドラマみたいだ 満たされはしない ただ気を紛らわせることを 幾つも幾つも重ねれば 小さじ1杯くらいの癒しにはならないだろうか 人とともに在ることは 苦痛なんだ…

日付と私

日付を覚える癖がある 皆そうなのか 私が特殊かは知らないが 特に春など 息吹だけで殺されそうになるというのに あぁ何年前のこの日にこうしていたのだと 思い出すだに崩壊する 自我も虚像も食うに食えない 気まずさも匂いも風も表情も そのとき思い出してい…

彼女の背

髪結い 部屋を後にした 姿は美しかった 彼女になりたかった 追い縋る男の手を払うまでもなく 気で払う なぜそこまで前を見る 風を切る 地球が味方するような 靡く髪も目も 細胞からほしくなるほどの可憐を 持っていながら要らないと言う もっともっと前へ行…

短絡

汚いことを考えている人間はすぐに分かる 人を痛めつけようだの それを隠そうだの また分からぬようにやろうだの 表明させない小技まで 分かってしまう 私がいちばん汚いのかも 胸の詰まるような思いを 人にさせて楽しいのかと問いたい お前はの自尊に付き合…

月夜懺悔

赤い灯を残すまで あなたが必死で駆けた町 誰も気づかぬそのうちに 戦は終わり世は清らか 命は尽きたのか まだ辛うじて形だけ留め だから誰も気づかぬまま 戦は終わりを告げた 黄色い月が昇るまで あなたが必死で唱えた呪文 誰も気づかぬ宵の内 妖は静かに去…

2つの春

君が先に花束を受けとり 去る町を 出会ったときからわかっていたのに やっぱり寂しくなるんだね 沈みこむこと それを感じとられること 嫌だなって先回りして 俯いてみた 恋のよろこびよりも 僕は僕を守る だって 何でたった2つの 春をまたぐだけでこんなに …

おもいだす春

草のうえに陽を受けて寝転がったね 春、春 唱えるよ 無意味だと人が言っても構わないさ 僕ら二人 愛でもなく 同じ時間にいることが どれだけ尊いか 日常の雑多に知ったはず 風の香り 久しぶりだね 陽に焼けちゃって後悔するかな それもいいさ 季節をもつ星の…

はるのものおもい

目覚めたのは確かな 三寒四温、不確かな 鳥の声も聞こえぬ 工場煙が遠く見えた ねえ、どこでだって生きているよ もう、どこだって同じだから 平気なわけないじゃない 息苦しさと同居に慣れたの また一歩ドアを出れば 春風らしき 息吹は確か また一本電車逃し…

よとぎばなし

言伝があるのです あなた1人で今夜、1番奥の部屋へ 怖がらずともよいのです …嘘です あなたの機微に懸けたくらいだから 気づいてしまわれたのですね あなたを堕とし 世の様を 少しでも潤せたらと あなたの首を絞め 世の痛みを 欠片でも拾えたらと 仰せです…

ひと思い ひと歌い

どうしたってこの世の実感は 受けられないようにできているの ただ虚ろなだけじゃない 狂っているわけでもない 誰も言ってくれないから ひとり言い聞かすに限る こじつけながらでも 日常をこなしてゆくしか 神と世を繋ぐ 負った使命の激しさと 人知れない虚…

当たり前の呪文

何もせずに愛されるはずはない 何も成さずに認められるはずはない 当たり前の呪文を ただ思い出した駅のホーム なんとなく忘れてたのに 否、 それとなく押しこめてたのに 私をつくるものが どこにもないと気づかされる 一生、続くことは知っている 冗談じゃ…

死の抗議

今まさに命を終わらせようと 息をのむあなたに 苦しいところ さらに心苦しいけど 残念なお知らせがあります 人ひとり死なないと気づかないような奴は 人ひとり死んだって気づかないよ 人ひとり死なないと気づかないような奴は 誰が何をやったって気づかない…

春見た雪

雪を見た春 そんなはずはなかった 手の感覚も この目も 肌に受ける冷えも 嘘だと言うなら 何も信じられないや 神のつくった 地を道すがら 少し過ごして 消えてゆくように 闇を纏った 人がちらほら できてるのかな 産まれるように 生きろとは誰も言わぬ ただ…

まだくる青

海が見たいと言う その背に 憂いはなし ただ浸るふりをして遣り過ごしたいだけ そんなにいいモノじゃないんだよ 嘯く癖は抜けない やめられない 青、青、 また思い起こせば青 振り払っても青 今はすぐに写真で見下ろせるね 変な感じ あんなにもがいた浜が帰…

ナツコイ。

静かに恋をしていた夏 風吹くだけで戸惑ったこと 走り続けて 目の前も眩む中で 君を追っていた ずっと向こうで 笑っているの 誰を見てるの 私のこと覚えてるかな ただね 懐かしくて 少し思い出してみただけ 気にしないでね ほんの今だけ 独り言だからね バス…

Rロード

すぐに泣いちゃったあのコを笑うけど 明日どころか今日は我が身よ 環七ぶっ飛ばしたけど 晴れる気も晴れない だって 安定も尊敬も矜持も罪も ごった煮にしてるみたい どうせ 傲慢も友情も卑屈も嘘も バレないし とっくにバレてる いったん帰って落ち着かせよ…

subconscious

あたたかい記憶がゼロならば すんなり外れて歩けた道を だましだまし逸れずにきたの 今になって噴き出してる 泣けど喚けど消えないような 陰陽に揺れて千切れるような 間違ってますか 夢に見せるほど 郷愁も懐古も葬ったのに 私が1人ではなかったことを だ…

海に約束

あなたの声響かなくて少し淋しい午後に キラキラ光る その底は暗闇だと知りました 指切りはないけど 約束がしたくて 独りきりで淋しいなら私がそばにいるよ 今日このひとときだけだけど ずっとずっとそばにいるよ そっとうなずくような心地良い波音 いつかも…