おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

短絡

汚いことを考えている人間はすぐに分かる

人を痛めつけようだの

それを隠そうだの

また分からぬようにやろうだの

表明させない小技まで

分かってしまう

私がいちばん汚いのかも

 

胸の詰まるような思いを

人にさせて楽しいのかと問いたい

お前はの自尊に付き合いきれない

気高き者の邪魔をするな

 

賢さ優しさ気高きを

持てばなお気づき

なければ死ぬまで気づかず

善き者が損をするのは世の常

美しい面はあっても

うまいことはできていない

時と春のさま

時は移りゆく

全て知ってか知らずか

春の香にやられているのでしょう

人間はそういうふうに作った

 

風の流れゆく

その様に息吹と名づけ

心やわらげているのでしょう

人間はそういうふうに生きた

 

町は育ちゆく

廃れるなどという言葉に

ひととき惑わされるのでしょう

人間はそれでも町を育てている

 

時は語りかける

過ぎゆくそれだけのことで

風の町の在りようさえ

やさしく語り過ぎゆくのでしょう

息吹

三寒四温つぶやく間もなく

いつのまにやら葉桜まで見上げるの

世界はまだ

追いつけない私を

遠ざかる日に

 

あたためて

泣きだすまで

包むつもりでしょう

 

さすがに齢幾年

わかってきたのよ

負けないからね

言ったそばから

春、息吹

胸苦しさをとかす

あぁ世界は眩かった

 

土曜暮れの街、人並み

思い通りに歩けないからと

世界はもう

やんなっちゃうって

ボヤくことも

 

肩に掛けた荷物が重い

だけど歩けるだけ

 

行こうとも思えるのよ

わかってきたから

負けも弱さも

繰り返した先

春、息吹

何にも残らないのに

あぁ世界はやっぱり眩かった

 

帰り着き

泣きやんでも

思い出させるでしょう

 

バカみたいに齢幾年

重ねてきたのよ

負けられないわ

意気込む胸に

春、息吹

遠い憂いもぼかす

あぁ世界は眩かった

 

思い出すだに

眩かった

春の野に

花飾りまとい現れた童

なんと純朴に世を見る

この野原にそぐわない身を

申し訳なく思い

 

しかし一定数

そういう者が必要ならば

私が負っているのだと

心に慰めを

偉そうな講釈たれるつもりはなし

ただ心に慰めを

 

花飾り一片二片

風に散り

駆けてゆく童

旅をしているか

今や天から見下ろす感覚を得て

しかし我が身はごく狭い地に留まる

 

旅を望んでいるか

思わず考えているだけなら無理しなくていい

得るものはあろうが行かずともよい

 

ただ今ここが耐えられぬ

どうしても耐えられぬ

かといって旅先に楽園はなし

ひとときの逃避に過ぎず

 

今生、真の意味での逃げ場なきこと

もう気づいているので

無理しなくていい

 

旅を望んでいるか

それなら行くといい

ねむたまなこ

まちがっているのはだれか

といつづけて今生はとじる

 

そうしてめをとじたはずなのに

またひらけてしまった

 

あさ、

せかいがあけゆくのは

ひとのいとなみが

つらくともひろがりゆくのは

 

今生をひらけてゆくために

しくまれているのかも

朝の歌

朝の夢を見た

目覚める夢だった

私は海を目指し

あなたを目指して

翼のない背中を必死で進めた

 

朝の夢を見た

歌う夢だった

私は空を目指し

翼のない背中で

あなたを必死で思っていた

 

涙を打ち払うくらいの強さは

あいにく持ってないけど

涙を流しながらでも

一歩ずつ進む

この足を持ってる

 

朝の夢を見た

いつの間にか目覚めた

どこまで夢なんだろう

どこまで世界で

翼のない背中でもがいてみよう

 

朝の夢を見た

いつの間にか目指した

海のにおい 空の青さ

果てない その全てが

この朝の

今に詰まってるんだ

 

涙を打ち払うくらいの強さは

あいにく持ってないけど

涙を流しながらでも

一歩ずつ進む

この足を持ってる

 

朝の夢は見ない

心に思うほどに

私は朝の夢に幻を知るの

私は朝の歌に口づけを

 

どこまで夢なんだろう

どこまで世界で

翼のない背中でもがいてみよう

 

涙を打ち払うくらいの強さは

あいにく持ってないけど

涙を流しながらでも

一歩ずつ進む

この足を持ってる

神の子等

世界を変えてしまうような神のみなしご

 

人里遠く離れた村に生まれた1人の少女

伸ばした髪を1つに結い 逞しく駆け抜ける

 

母の愛を知らぬままに1人育った少年

空を見上げ問い続けた その瞳は強く

 

2人が出会う時

声(おしえ)が胸に目覚め来る

 

世界を駆けて救いゆけ

あぁ神の子等

襲い来るものに向かいゆけ

さぁ神の子等

見えぬその先は 2人飛び込め

 

病める町よ 死せる川よ 進むほどの厳しさに

決して強くはない少女 幾度涙した

 

夏の長雨降り注ぐ 岩をも砕く激しさに

決して弱くはない少年 止むまで手を握る

 

淡い虹 その下で

終わりはすでに始まっていた

 

願いをかける人々が振り仰ぐ空

耳を塞ぐな 2人ならきっと守れよう

選ばれし運命を果たし生き抜け

 

世界は絶えてしまうのか

神のみぞ知る

遣わせし子等に託された

彼もこの地も

 

世界を変えてしまうような神のみなしご

その力をもって2人 世界を保て

選ばれし運命を果たし生き抜け

 

伸びた髪を1つに結い

強い瞳はそのままに

世界を変えてしまうような

あぁ神の子等

夜舞(やまい)

貴方に届かない

自分すら分からない

やめとけば良かった

やめとけば良かった

 

貴方のその声に

耳を傾けるの

聞こえない声を

聞こえない声を

 

独りきり地平で項垂れているけど

届くかも分からず吐き出すけど

 

貴方が居るんだと皆が信じる空に

ただ雲が流れるだけかもしれない

 

斯くなる上は

 

私は独りの地平を生きるわ

大丈夫 遠くても仲間達がいる

 

孤独の背筋に走るは哀しく

だけど確かに同じ震え

 

何度と夢を見て

夜毎に空を見て

分からなくなった

分からなくなった

 

貴方は四肢さえも持つ生き物なのか

私は知らない

私は知らない

 

何で?どうして?

世間の問いを超えた私の

答えを誰が知るの?

貴方じゃなきゃ…

 

いつも通りの道を歩けた時なぜか

不安に襲われるの私だけなの…?

 

斯くなる上は

 

汚された星で私は生きるわ

大丈夫 伝え合う仲間達がいる

 

震えるこの背が選ばれた証なら

問いさえなくても答えを…

 

貴方は何処にいる?

貴方は笑ってる?

伝え続けるよ

伝え続けるよ

ゆく夏の中

悲しみになぜか 触れた時なぜか

愛おしさや狂おしさが この頬を染めた

 

夏の終わりにいて いつも2人でいて

あたたかさや愛おしさは

いつの世に消える

 

どうか2人でいて

いつも変わらないで

なんて願い

抱いてる間に

季節はスッとゆくの

 

咲いた花がいつか

君の背 追いこした

まぶしい黄色 まっすぐな空

いつの世へつづく

 

熱い風の中で

ずっと変わらないで

愛おしさや狂おしさが

この夏を染めるの