おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

夏を呼ぶ日

夏の日を憶えている

それは懐古ではなく

熱い体を憶えている

 

逃れられない運命のような

ただの思い込みのような

 

ふと、目を覚ますと

分からなくなるのは

死ぬまでずっと

生きてもずっと

だけど、

もっと深いところで

やけにぼやけたところで

 

記憶、追い詰め、問い詰め

夏を呼ぶ

 

夏の日を憶えている

決して悔やむではなく

痛い傷を憶えている

 

幼子の大袈裟のような

一生引き摺るような

 

ほら、産まれ堕ちることからし

選べないでしょう

溶かせないでしょう

だから

きっと救い上げる

ずっと見守っている

 

文月、巡らす、辿り着く

夏を与える

 

誰も憶えていない

不確かさに目を剥くほどだ

縋りつくだけなら、太陽

容易く許すのだろう

 

記憶、追い詰め、問い詰め

夏を呼ぶ

 

また確かに巡り来た日

青の代償

世界は青いね

誰にも言えないけど

僕の心は荒んだままで

世界は優しい

本当は優しいんでしょ

今は少し隠れてるだけ

 

手を伸ばす 空に問う

希望って何?

その青が 答えきっと見せてくれる

それでもね

怖いつらい呼吸は続き

うずくまる 震えてる

 

気づいて

 

世界は青いね

誰にも言えないけど

僕の心は荒んだままで

高く晴れたこの空ほど

優しいものはないんだよ

怖いものはないんだよ

 

どこまでも堕ちるような

海の底 心の底

その青がひどく染みついて消えない

それでもね

眩しい淡い光は差し

涙ごと拾ってくれる

 

気づいて

 

世界は青いね

誰かに言いたいけど

嗄れた声は響かなくて

世界よ教えて

こんな感情

僕だけ1人持ってるの

みんなどこかに抱えてるの

 

知ってるよ 本当は優しいんでしょ

ただ両極に曳かれ揺れるのが苦しいだけ

 

世界が青くて鮮やかな分

汚い僕は身を隠し

世界が青くて罪深い分

心は少し華やいだ

 

世界は青いね

誰にも言えない心

僕は今でも荒んでるけど

世界は優しい 知ってしまったから

今も歩き続けてる

世界の、青い空のほうへ

君は言う

「どんな世界の青さにも 君1人で立ち向かうことはないのだから」

「どんなに世界に怯えても 君を苦しめるものばかりじゃないのだから」

 

失う五感と湧き上がる六感、七感

私はどうやって生きてゆく

呼吸も儘ならぬ苦しみと縛りの世界で

私はどうやって生きてゆく

“生きてゆく”…?

 

投げ出させてくれない 空の明るさ

最期の一瞬に過ぎる風

揺れる揺れる心

もはや此処に在らず

 

それでも

 

君は言う

「どんな世界の青さにも 君1人で立ち向かうことはないのだから」

 

消え行く五感を凌駕する六感、七感

私は何処までも惑うだけ

“故に我在り”は思っても思っても摑めない

私は何処までも惑うだけ

惑うだけ

 

諦めさせてくれないメロディーがある

堕ちた底の者にも吹く風

巡る巡る時よ

何処へ連れてゆくの

 

不安でも

 

君は言う

「どんなに世界に怯えても 君を苦しめるものばかりじゃないのだから」

 

 

失う五感と湧き上がる六感、七感

私はどうやって

“生きてゆく”

 

終わらせてはくれない

続いてく空

今この一瞬を刻む風

揺れる揺れる心

もはや此処に在らず

 

それでも

 

君は言う

「どんなに世界に怯えても 君を苦しめるものばかりじゃないのだから」

 

投げ出させてくれない空

その青を

憎らしいとさえ思ったこともあったけれど

 

君は言う

「どんな世界の青さにも 君1人で立ち向かうことはないのだから」

君は言う

「どんな世界の青さにも 君1人で立ち向かうことはないのだから」

不機嫌と日曜日

最悪の言葉は飲み込んだけど もっと居づらくなった

君は僕より分かってるからイヤなんだよ

 

街は賑わってゆく

ミサイルのようなスピードで僕は逃げる

 

涙目なのは隠したいけど ちょっとムリだったんだ

昔からずっと変わってないよ 笑われそう

 

街は賑わってゆく

賑わうほどに僕は嫌いになるけど

お構いナシね

 

不機嫌を流行りの服のように着て

祈る言葉は持たないまま

黄色い砂はらんだ風のせい?

雨をこらえた空のせい?

 

こみあげたヒステリーは日曜日には ちょっとそぐわないかな

君が許してくれる限度を知って勝手したの

 

街を振り切ってゆく

自転車の鬼と化した僕は駆ける

 

適当なウソでごまかしたいけど それもムリだったんだ

 

街を背にして走る

穏やかな川の流れ 早く会いたい

心鎮めてよ

 

不機嫌を流行りの服のように着て

似合わないこと気づいたまま

笑顔の人には分からないよ きっと

橋を渡っても振り切れない惨めさ

 

不機嫌を流行りの服のように着て

祈る言葉は持たないまま

黄色い砂はらんだ風のせい?

雨をこらえた空のせい?

 

不機嫌を流行りの服のように着て

そのまま家路についた

祈る言葉は持たないまま

 

偉そうな話はそれくらいにして

今日をどこか放り投げる

 

賑わう街が嫌い

自分が嫌い

生まれ変わりも見えないまま

振り切ってく

振り切ってく

不機嫌と日曜日

m

彼女は決して言ってはいけない言葉を口走った

私はひどく傷ついて

と当時に

あぁこれで解放される

正当に忌み嫌うことができると

安心できた

 

いつ止んでもおかしくない雨のように

命が消えること

知らないわけではない

だけどそう言いながら

クソほどどす黒い日常が

ちゃっかり続くんだから

息を保たせるためには

多少の狡さは必要でしょう

 

彼女は頭弱いのかと思うほど悪気ない人間で

だから泣くし耐えるし愛情も持つ

だけど汚い人間の心の葛藤を知らない

ある意味、楽してると思う

 

とっくに雨は止んでいる

私の熱は下がらない

耐えかねて自分から燃えようか

血迷うほど

激しい精神を持つ子を

抱えるのは普通の人間でも難しい

今日も汚い言葉を吐く

 

もう一生会わないままにしようか

心苛まれて朽ちるくらいなら

どうせ最善策はないから

次善の次善でしぶとく息をするためには

 

いつ止んでもおかしくない雨のように

命は消えるよと

またイイ子がたしなめてくる

少しは黙ってくれ

これは異星児の闘いだ

 

やっぱり熱は下がらない

そんなことを

もう何日何年唱えているだろうか

世の地の悩める部屋

四畳半に慣れた身には

広すぎるくらいの部屋

帰り着いた途端にベッドに身を投げる

あぁ何かのドラマみたいだ

 

満たされはしない

ただ気を紛らわせることを

幾つも幾つも重ねれば

小さじ1杯くらいの癒しにはならないだろうか

 

人とともに在ることは

苦痛なんだと身を以って教えられ

齢30数えてなお

虚しい独り身

流行り言葉でならいくらでも表せよう

けれど

そうじゃない

そうじゃない

 

この世のこの地の定めを以って

 

四畳半に慣れたつもりが

心は宇宙の肩身狭し

 

どうやって生き延びよう

またベッドに身を投げ

1人思案しよう

誰もお前に気づかない

誰もお前に気づかない

 

頭の良い者

感受の強い者

それは魔法と同じく

人にはわからない特殊能力のようなもの

 

誰もそれに気づかない

 

お気の毒さま

世が世なら崇められ

または畏れられ裁かれ

人には知らないものを疎む心がある

 

誰も自覚は持っていない

 

頭の悪い奴が

感受の無い者が

何人 束になったところで

お前には敵わない

ただ、悲しいかな

 

誰もそれに気づかない

 

世は巡ってゆく

長けき者を置き去りにして

なまぬるい風ひとつ

唇を噛むか

それすら放棄するか

 

誰もお前を責められない

 

そして神のみぞ知ると呪文は生まれ

折り合いをつけると所作が身につき

もうこれで良かろうかと唸る世

なぜにまた降る才

 

お前だけがそれに気づく

皐月風

今朝もまた夢見の悪い

皐月、風薫れど

それが刺す胸

 

昨夜、初めて高台に上った

港夜景を真夜中見ていた

そんないいモンじゃなかったけれど

見ないで終わる人生もあった

 

いろんなことを考えていた

記憶の限界

思想の無限

堕ちた結果がいつもの虚ろ夢

 

どうせ朽ちる

言いながらわりと長く生きている気にもなる

いやに続く

嘆きながらすぐに飛び去ってゆく

時を思った

 

寝不足まなこ

だけど時計が示すならそう

動き出さないと

 

日は昨日より強く差し

工場地帯に電車が渡った

なんてことない街の片隅

ひとときだけど過ごす人生

 

いろんなことが湧き上がるのは

もう性としか

むしろ定めか

這い上がったなら表こなす日常

 

やけに太陽

責めるね暦どおりの

それ以上の移ろい告げる

まだまだ続く

夏を追って秋、冬

もう知ってる

 

それが悲しいことでもある

感覚を鈍らせなければ息もできず

ねぇたまに安心でもある

きっと過ぎ去る

どうせ過ぎ去る

 

いつか朽ちる

夢見悪いまま数十年生きたようなものだけど

ずっと続く

嘆きながら覚悟はできたようなものね

 

夢をみせる神様

皐月風だけはしっかり吹かせて

あぁ世が嘆きだけでないこと告げる

それが薫る

薫り続ける

こんな時使う

エピソード、感覚記憶

 

日付と私

日付を覚える癖がある

皆そうなのか

私が特殊かは知らないが

 

特に春など

息吹だけで殺されそうになるというのに

あぁ何年前のこの日にこうしていたのだと

思い出すだに崩壊する

自我も虚像も食うに食えない

 

気まずさも匂いも風も表情も

そのとき思い出していたことまでも

降るように

湧き上がるように

私の身の内を責めるから

 

日付は嫌いだ

時刻も嫌いだ

だからと言って

数字から離れたところで

解放されるわけでもなし

 

今日も刻んで

思いの丈を綴ったノートには

必ず最後に日付を記して

 

記憶の足しにしておく

私を殺す援軍に取っておく

せいおん

今を生きたことなど一度も無し

 

前向きで張りのある者の

スローガンのように唱えられている

馬鹿げている

 

過去を振り返らない者は

所詮、記憶の薄く

未来を思わない者は

所詮、想像がなく

 

思ってもどうにもならないことを

思わずにはいられない

後悔や不安でできた体

 

今を生きたことなど一度も無し

 

夢や希望を語ることも無し

 

愛にあふれた日々を知る者の

唯一の正解のように唱えられている

気が知れない

 

恋に揺るがない者は

もっとしんどい揺らぎを知っている

愛に縋らない者は

信じない分、神か己か、信じている

 

一番尊いとされる類を

何番目かに追いやる

他とは決して交わらぬ心

 

夢や希望を語ることも無し

 

今を生きることなど一度も無し