おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

川と風の日

通りすがりの苦しさだった

やさしい陽を受けるとは

まさかこの背も思ってなかっただろう

 

川の流れ思い描いてた

歌に出てきた嵐山

やっと来られた

1人きりだけど

誰にも知られぬように

小さく口ずさもう

 

制服の彼ら彼女らには

分からないよなんて嘯いても

重荷抱えたふりをする

自分が可笑しくなるだけさ

 

通りすがりの苦しさだった

朝の風がゆくときは

少しこの背を伸ばしていたいような

 

異国の人と橋を渡る

なんとなくで安らぎを

分け合っているなんて

思いこんでみたり

 

せせらぎはいつまでも

続かないよなんて先走るクセ

ぼーっと眺めている分には

ひととき何も感じなくていいんじゃないかって

 

通りすがりの苦しさだった

優しい陽を受けるとは

まさかこの背も思ってなかっただろう

 

川を下る船を見ていた

歌に出てきたその景色だ

やっと来られた

1人きりでも

 

通りすがりの苦しさだった

思えただけでも

来てよかった

いちにちを巡らせる

気がついたら夜

あのコが怯えてた夜

闇が襲う

声もなく

堕ちてゆく眠り

 

気がついたら朝

彼が怯えてた朝

光の眩しさに

逃げ場なく

照らされる己

 

気がついたら昼

あの人が怯えてた昼

忙しなく

動く街

こなしてゆかなければ

 

気がついたら夕べ

私が怯えてた夕べ

暮れてなずむ

その瞬間

引きずられてゆく

 

一日の何所をとっても

心休まることなく

誰かが嫌って怯えていなければならないの

 

夜にはあのコに寄り添って

朝には彼とともに光を浴び

昼にはあの人とともに走る

夕べは私の手をとって

 

何とか巡ってゆけたらいい

ロングスリーパー

世の中は眠りと覚醒でできている

ロングスリーパー 何とか渡れ

 

まだ明けぬ空に願いそっと懸けてみたり

白昼夢 寝覚め虚ろ

 

平等に与えられた24時間の中で

ロングスリーパー 景色まだ

 

覚めやらぬ

 

ロングスリーパー

人生損してるなんて

上っ面だけで言わないでよ

 

人々が語らう夜べ 眠りこけてみたり

街が動き出しても

 

あぁ夢の中

 

ロングスリーパー

大器晩成どころか

毎日毎日眠ってます

 

時間を無駄にしてる?

そんな気はなくて

ただただ そういう生き物です

 

大きな夢を摑むためには

寝る間も惜しまなきゃいけないんでしょ?

だけどね ロングスリーパー

眠り眠るうち

うんとパワーをためてる

ってことにしよう!

 

世の中は眠りと覚醒でできている

ロングスリーパー 何とか渡れ!

呼び水ふわり

水は人を呼ぶのだから

海を前にして怯えるあなたは正しい

 

砂浜で確かに持っていた意識を

飛ばすの 陽射しの

眩むか 目覚めるが先か

 

だめよ だめよ

抗うほど 引き込まれてゆくのだから

リズムつけて呼んでるのよ

気づいた時には もう海の底

 

水は声を出すのだから

海の前にいて勝てると思うのが間違い

 

なぜか上空から見ていたなんてことに

なるの 陽射しの

その上へ 行きたくはないでしょう

 

そっと そっと

手招く波

連れ去る時は一瞬だから

リズムに乗って 心地よいほど

気づいた時には もう海の底

 

山が呼ぶ

地が呼ぶ

空が呼ぶ

風がふわり使者となって

水が呼ぶのも

その営みの1つよ

 

だめよ だめよ

抗うほど 引き込まれてゆくのだから

リズムつけて呼んでるのよ

気づいた時には もう海の底

 

そっと そっと

手招く波

連れ去る時は一瞬だから

リズムに乗って 心地よいほど

気づいた時には もう海の底

ひとり

愛されぬまま朽ちてゆく身が

惨めでならないのです

それを言葉にすればなお

痛々しく映るから

黙っている

 

そうやって口を閉ざせば

いっそう気味の悪い存在となり

輝く人の影にすらならないように

街から消える

 

いつ、どこで、どう間違ったのか

誰も教えてくれない

数十年かけて旅をしてきたつもりなのに

行き着いた狭い狭い部屋

 

項垂れても、ひとり

物思っても、ひとり

 

愛に飢えた者のように

歌われるのも御免です

それを訴えたところで

虚しさが増すから

黙っている

 

黙っているだけで本当は

何も考えていないわけじゃない

負け犬の遠吠えですか

ならば獣は街を後にして

 

ねえ、どこへ、これから行けば

この身も報われよう

決して横着してきたわけではないのに

行き着いた深い深い底

 

這い上がるも、ひとり

崩れ落ちるも、ひとり

 

愛されぬまま朽ちてゆく身が

惨めでならないのです

 

凍えきって果てるような

熱にうだされ焼け落ちるような

 

いつ、どこで、どう間違ったのか

誰も教えてくれない

数十年かけて旅をしたつもりなのに

行き着いた狭い狭い部屋

 

項垂れても、ひとり

物思っても、ひとり

うたにあらず

自意識と感受と

ありったけの衝動をブチ込んだ

それはもう

うたにあらず

ただ

爆発の時を待つだけ

 

荒い兵器のようだ

 

こんなはずじゃなかったと

呪文なら幾らでも出てくるのに

華やかな世界にも

身を切れずにいるのか

 

丸い地球のはずが

 

うってつけの社交場で

壁の花にもなれないことを

おそらくでも

ひとにあらず

うすうす

気づいているのでしょう

 

辛い夏味のような

 

どこで手を打ちましょう

誰かれ構わず抱きしめるわけには

 

うたにあらず

叫ぶ声の

ひとにあらず

吐く息の

 

荒い兵器のような

ただの塊ひとつ

おのがこころ

大切な人が誰なのか

もうずっと前にわかっていた

なんだかんだと病名をつける

そんなことしなくてもわかっていた

 

どうせ愛せないよ誰も

すこぶる順調 毎日は

衣食住整えばいいならとっくに

 

夜9時を過ぎたらもう

閉じよう

詫びよう

見えない敵

 

帰途も明日も晴れやしない

大切なのは己のみ

 

残酷なことに青春は

姿も見せずに消え去った

あーだこーだと足掻き続ける

それだけでもう折り返しが見た

 

この腕摑まれてもまだ

渡せないプライドとか

ある程度築ければいいならとっくに

 

夜中1時を過ぎたらもう

浮かぼう

いつでも

帰れるように

 

寝床も過去もあたためない

大切な己すら蔑ろ

 

大切な人が誰なのか

もうずっと前にわかっていた

世にそぐわないようで

気づいて黙っていた

 

意識途切れたらもう

任せよう

倒れよう

惨めな星

 

口笛、恋唄、届きやしない

大切なのは己のみ

 

言い聞かせれば嘘も方便

大切なのは己のみ

たまゆらもどきの

苛立ってたのはどうして

そんなにヤワじゃなかったはずなのに

たとえば何にも感じずに一言も発言しなければ

場は収まるし嫌われはしないと

気づいて実行してきた矢先

 

ぷつっと切れた糸に似て

 

うまくいかなくて当たり前

唱えた呪文を蹴飛ばすような

やっぱり欲は

私を認めてと

それは

愛してほしいより根深い

縛りつけられた魂ゆらり

 

自分に厳しいからね

他人にも求めるって

よくある説に

気持ちいいくらいあてはまって

だから私はこの世の何も許せない

一度沈むと引き上げられぬ大船

 

次の機会は来世には

 

ちょっと大げさに嘆き節

あの人たちは一日で忘れても

私の解釈

言葉にしたいこと

またね

熱が上がって食いしばる

そんな午後2時 魂ゆらり

 

愛さえあればも嘘だし

誰のことも悪く言わないって綺麗事だし

生きていくためにどんどん

賢者のような

たまゆらもどき

偉そうに語りましょうとも

 

うまくいかなくて当たり前

唱えた呪文を蹴飛ばすような

やっぱり欲は

私を認めてと

それは

愛してほしいより根深い

縛りつけられた魂ゆらり

 

熱に浮かされ

ゆらり

嘆きの隣で

不謹慎を承知で言わせてもらえば

大切な人を失くしたと嘆いているその姿すら羨ましいんだ

そこまで強く思えることが

なければ生きていけないと

激しい関係を

安心の類を

築けることが

 

この世は繋がらなければ

存在が確認できないような

無縁と名づけて慰めてみても

落ちつかない魂は

 

果て

どこへゆくのか

その前に

ここで、

どう保てばよいのか

 

冷たい人間だと非難されても

花を手向け涙する横で

ある種

もっと泣きたいんだ

でも泣けもしない

それが悲しいんだ